巨大な自然災害はインフラに大きな被害をもたらす半面、技術革新の契機となる。熊本地震で落橋した阿蘇大橋の架け替え工事では、一部の部材をあえて壊すことで橋の損傷を制御する。トンネル掘削工事では、施工者のノウハウを設計に反映して高速で施工する。

壊れ方を決めて損傷を制御
●設計の想定を超える外力に備える
新しい阿蘇大橋の橋脚付近から橋台側を望む(写真=日経コンストラクション)

 深さ100mの渓谷の切り立った斜面。時折秒速10mを超える強風が吹き抜ける中で重機がせわしなく動き回り、橋脚基礎の建設が急ピッチで進む。国土交通省九州地方整備局熊本復興事務所が約60億円の工費をかけて整備する国道325号阿蘇大橋の架け替え工事の現場だ。2016年4月16日未明の本震で落橋した旧橋の約600m南側で、分断された南阿蘇村の中心部と熊本市方面をつなぐ。

 20年度の開通を目指す新しい阿蘇大橋(以下、新阿蘇大橋)。設計に当たって最も大きな課題となったのは、熊本県内を南西から北東に横切る布田川断層の存在だ。