音楽といえば、1982年からソニーの社長を務めた大賀典雄氏が東京芸術大学出身の音楽家であったことが知られる。「大賀さんは、ナンバーワンの会社を目指すだけでなく、マーケット全体の拡大も重視していた」と妹尾代表。とはいえ、いたずらに大規模なホールを新設するのは地価や建設費の高騰などのリスクが大きく現実的ではない。そこで注力しているのが、高付加価値化だ。

音楽は「ラストゼロインチ」のビジネス

 例えば「Zepp Osaka Bayside」では、限定チケットの購入者などを対象に、アーティストと会って話ができるような専用の部屋を設けた。また、全てのホールにソニー製の高精細4Kプロジェクターを導入し、客数が伸びにくい月曜日や火曜日の夜にコンサート映像の上映会を行う試みも始めている。バスケットボールのプロチームから、ホームゲームを行う体育館の運営をZeppと一緒にやりたいという話も来ているという。

 「音楽は感動そのものを送り届ける、『ラストゼロインチ』のビジネス」。妹尾代表はこう強調する。消費者との接点を保ち続ける“舞台装置”を作り続ける。それが「SONYブランド」を守り続ける近道にもなる。

 音楽に加えて、ソニーが消費者に近づくツールとして重視するのがキャラクタービジネスだ。

 東京・六本木。大通りから横道に入り、高級マンションや大使館が並ぶ坂を上がっていくと、チャーミングな表情をたたえた「スヌーピー」がお出迎え――。2016年4月にオープンした「スヌーピーミュージアム」だ。米カリフォルニア州にあるチャールズ M.シュルツ美術館&リサーチセンターの公式サテライトとしては世界初。「スヌーピー」などのキャラクターが登場するコミック「ピーナッツ」の原画や、作者シュルツ氏にまつわる資料などを6カ月ごとに入れ替えて展示する。18年9月までの期間限定だ。

 この「スヌーピーミュージアム」を手掛けているのが、「ピーナッツ」の日本国内独占エージェント権を持つソニー・クリエイティブプロダクツ(SCP)だ。ソニー・ミュージックエンタテインメントのグループ会社で、キャラクターを中心とする著作物や商標などの版権管理や、それらを活用したマーケティングなどを行っている。