ソニーの平井一夫社長兼CEO(最高経営責任者)が重要な事業の1つと位置付ける映画部門で、静かに事業構造改革が進んでいる。その柱の一つがマーケティングのローカリゼーション(地域化)だ。

 きっかけは2014年9月、米カリフォルニア州に本社を置くソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)で、マーケティングと配給を担当する部門のトップにジョシュ・グリーンスタイン氏を招いたこと。米スタジオ大手パラマウントで数々のヒット作を導いてきた同氏は、SPEに移籍すると、傘下のコロンビア映画の配給に関連するマーケティング業務を各国の現地法人に任せるようにした。「本社」にあたるSPEが指揮していた業務の権限委譲である。

 日本でも成果はすぐに出た。15年1月に公開した「アニー」。同作は最大市場の米国でファミリー映画として公開されていたが、日本では女性客をメーンターゲットに設定。ミュージカルが好きな国民性も考慮して、宣伝や予告編を米国版とは大きく変え独自に制作した。現地市場の特性に合わせたマーケティングで、日本における「アニー」の興行収入は米国を除く海外市場でトップとなった。

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