華やかな拡大戦略は暗転して、業績悪化と相次ぐ不祥事に見舞われる。セゾンの成功も失敗も本質的な要因は、堤という経営者に内在していた。91年の「引退宣言」はバブルの後始末という長い撤退戦の始まりだった。

「アメリカのロックフェラー家の資産運用会社のトップが日本に来ました。目当ての堤清二さんに会えないというので、代わりに僕が会いました。長年、日本に投資してきたが、そろそろ引き揚げようと思っているというのです」
こう明かしたのは、堤清二の妻の弟である水野誠一。財界の大物で産経新聞社長だった水野成夫を父に持つ。1990年に43歳の若さで西武百貨店の社長となる直前、専務だったときに面会したという。石油で財を成したロックフェラー家は「石油王」とも呼ばれ米国を代表する財閥だ。堤がかつてロックフェラー財団に寄付をした関係で、3代目当主デビッド・ロックフェラーと親交があった。日本有数の資産家だった堤一族に何を伝えたかったのか。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り5200文字 / 全文文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
Powered by リゾーム?