多くの企業再建を手掛けた堤は、周囲の反対の中で吉野家も支援した。異例の決断は保守化するセゾンに対するアンチテーゼの意味があった。だが吉野家は総帥への忖度がはびこるセゾンの病に直面することになる。

「役員たちは下を向いていた。下を向いているのは、内心では反対だったということ。百貨店業界で劣っていた西武のイメージがようやく上がってきたところなのに、堤さんが今度は牛丼の吉野家を支援するというのだから」
1980年に会社更生法の適用を申請した吉野家の支援に、セゾングループが乗り出すかどうか。それを決める役員会の光景は異例だった。役員会事務局の仕事をしていた林野宏(現クレディセゾン社長)の証言だ。
支援される側の吉野家の内部でもセゾングループとは社風が合わないという声が多かった。
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