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今や4人に1人が65歳以上の日本。孤独死や介護難民などの問題が山積している。孤立せず、介護や医療が必要になっても安心して暮らせるコミュニティーの整備が必要だ。

齊藤 広子[さいとう・ひろこ]
横浜市立大学
国際総合科学部
教授
1993年大阪市立大学大学院修了。英ケンブリッジ大学客員研究員、明海大学不動産学部教授を経て、2015年から現職。住宅の管理・経営の在り方などを研究する。

 日本は2007年に65歳以上の人が人口の21%を超える「超高齢社会」に突入した。その後も高齢化率は上昇を続け、25年には団塊世代が75歳を超えて後期高齢者になり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上に達する、いわゆる「2025年問題」が待ち受けている。

 こうした中、高齢期を心豊かに、安心して暮らせる環境づくりがますます求められている。

 高齢期の住まい方を考える上で重要なポイントが大きく2つある。

 一つは、年を重ねて高度な医療や介護が必要になった場合でも、同じ場所もしくは同じ地域社会の中で暮らし続けられることだ。高齢になり自立した生活が難しくなってから住み慣れた場所を離れ、知人もいない介護施設などに入居したために、新しい環境になじめず、苦しい思いをする人が多い。

 2つ目は、地域住民同士の交流を密にすることだ。厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、16年に65歳以上の人がいる世帯は全世帯の48.4%。このうち単独世帯が27.1%、夫婦のみの世帯が31.1%を占め、合計すると6割近くに達する。配偶者を亡くして、一人暮らしになると、認知機能の低下を招いたり、孤独死の危険が高まったりする。毎日顔を合わせる知人がそばにいれば、そうしたリスクを抑えられる。

全米2000カ所、国内40カ所

 そうした観点から注目されているのが、CCRC(Continuing Care Retirement Community、継続ケア付き高齢者コミュニティー)だ。米国に約2000カ所あり、高齢者用の施設や住宅の約9%を占める。CCRCの特徴は2つある。

 一つは、介護や医療などの機能を備えており、健康で自立した生活が送れる間に入居し、年齢を重ねて高度な医療や介護が必要になっても、施設を移ることなく住み続けられること。

 もう一つは、住民同士の交流を促し、趣味や娯楽を一緒に楽しめる共有施設や活動の「場」を設けていることだ。施設運営の一部を住民が協力して担うケースも少なくない。