保田隆明(ほうだ・たかあき)
神戸大学大学院経営学研究科准教授
1998年早稲田大学商学部卒業。米リーマン・ブラザーズなど証券会社勤務などを経て、2015年9月から現職。専門は企業財務やベンチャーファイナンスなど。

 自治体に寄付すると住民税の一部が控除される「ふるさと納税」は2008年の導入以来、そのあり方や意義について様々な議論がなされてきた。公共政策の観点などから多くの批判もあるが、筆者は世界的にもユニークな制度であり、大きな利点があると考える。

 ふるさと納税の最大の貢献は、消費者の目を地方に向けさせたことだろう。この制度を活用することで、全国の自治体が自分たちの魅力をアピールして交流人口を増やしたり、東京など大都市圏から資金を調達したりする仕組みを構築できる。それは結果として、経済を支えるヒト・モノ・カネの好循環を生み出すことにもつながる。

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