中澤秀一(なかざわ・しゅういち)
静岡県立大学 短期大学部准教授
2002年中央大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学(経済学修士)。塾講師などを経て、2006年から現職。専門は社会政策、社会保障。

外食産業などで時給引き上げを求める声が上がる。今年4月に東京・渋谷で起きたデモの様子

 10月に発効した2016年度の最低賃金は、全国加重平均で25円引き上げられた。過去最高の上昇幅となった背景には、安倍政権の「全国平均で最低賃金1000円」という目標がある。

 だが、筆者は少なくとも1300~1400円、なおかつ全国一律の最低賃金が理想的だと考えている。

 最低賃金は1975年から都道府県別に毎年設定されてきた。「大都市は地方より物価が高い」という“常識”があるからだ。果たしてそうだろうか。

 筆者は2010年の静岡県を皮切りに、憲法が定める「健康で文化的な生活」を営む費用=最低生計費(生活費)の試算に各地で関わってきた。調査では、金澤誠一・佛教大学教授がマーケット・バスケット方式を現代的に修正したものを用いている(下記「若者の一人暮らしの最低生計費の試算」表)。

全国どこでも毎月22万~23万円が必要
●若者の一人暮らしの最低生計費の試算
*1=食費、住居費、光熱・水道、家具・家事用品、被服・履物、保健医療、交通・通信、教養娯楽、その他の総和 *2=理美容費、交際費、その他の会費、こづかいなど *3=消費支出×10%(百の位以下切り捨て) *4=消費支出+予備費 *5=所得税+住民税+社会保険料

 この方式では、必要な生活用品やサービスを「米○kg、豚肉〇g、シャツ〇着、散髪〇回…」といった具合で積み上げる。対象品目は「7割の人が所有(購入)する」が原則。消費支出の1割を予備費として計上するのは、奨学金返済など、どの項目にも該当しない支出に対応するためだ。