「固定価格買取制度(FIT)」による再生可能エネルギーの買い取り総額は2030年度までの累計で59兆円に。国民負担も44兆円と過大であり、打ち切りも視野にFITの抜本的な見直しが急務だ。

朝野賢司(あさの・けんじ)
電力中央研究所 上席研究員

1974年生まれ。2006年京都大学大学院地球環境学舎博士号取得。産業技術総合研究所を経て、07年電力中央研究所入所。バイオマス、再エネの導入課題を研究。

 政府が2015年にまとめた「長期エネルギー需給見通し」では、太陽光発電に代表される再生可能エネルギーの比率を「2030年度に22~24%」という目標を定めている。これは、これから15年間に再エネ比率を7~9ポイントも高めることを意味している。

 再エネ普及のため政府が12年7月から実施しているのが「固定価格買取制度(FIT)」である。再エネ由来の電力を、20年間などの長期にわたって「固定」した価格で、電力会社(送配電事業者)に買い取らせることを法律で義務づけたものだ。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2200文字 / 全文文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「気鋭の経済論点」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。