政府・与党が検討するサマータイムは、太陽の動きなど自然のリズムに即した暮らしを人為的に変える行為だ。夜明け前に起き出し、正午でも太陽は東の空、日暮れは午後9時ごろだ。天体の運行を踏まえ、慎重に議論してほしい。

安田 岳志[やすだ・たけし]
日本公開天文台
協会会長
1992年和歌山大学教育学部卒業、兵庫県姫路市の姫路宿泊型児童館「星の子館」や姫路科学館で、天文台やプラネタリウムの運営を担当。2017年8月から現職。

 古来、人々は太陽や星の動き、月の満ち欠けの中に自然の周期性を見いだし、それを基に時刻や暦を定めてきた。時刻や暦は、天文と切っても切り離せない関係にある。かつて、英国のグリニッジ天文台を通る子午線を基準に世界標準時が定まったのも、現在の日本の公式の暦である暦要項が国立天文台で作られるのも、天文と暦の長い関係を反映したものである。

 現在、日本では政府・与党が日照時間の長い夏季に標準時を早めるサマータイムの導入について議論している。私は天文の観点から異を唱えたい。