賞味期限を「年月」で表示

 無駄を防ぐには、全体の半分のロスが生じているメーカー・流通段階での効率化がカギを握る。

 まず食品メーカーが始めたのが、賞味期限を「年月日」ではなく「年月」で表示する取り組みだ。劣化が早い生鮮食品とは違い、賞味期限が3カ月を超えるような食品は品質の変化が緩やか。関連法でも日付の表示は求められていない。

「年月」のみ表示でロスを削減
●日本コカ・コーラ製品の賞味期限表示の切り替え例

 メーカーは卸企業から「次回納品は前回と同じか新しい商品を」と指定されることが多かったが、年月表示なら手持ちの在庫を効率良くさばける。

 これまでに味の素、キユーピーなどの調味料メーカー、日本コカ・コーラ、サントリーグループなどの飲料メーカー、江崎グリコなどの菓子メーカーが取り組みに参加。2009年からの6年間で少なくとも324品目を年月表示にした。消費者からも切り替えに対する苦情は聞かれていないといい、今後も切り替えの動きは続きそうだ。

 メーカーから卸、小売りに至るまで、賞味期限をめぐる商慣習を見直す機運も高まってきた。セブンイレブンやファミリーマートなどの大手コンビニエンスストア、イトーヨーカ堂、ユニーなどの大手スーパーが進めるのが納品期限の緩和だ。

 日本の食品流通業界には「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習がある。これは賞味期限までの最初の3分の1を「納品期限」、最後の3分の1を「販売期限」とするもの。納品期限を過ぎると、メーカーや卸企業は小売店に商品を出荷できない。

 もちろん、納品期限を過ぎても賞味期限までは問題なく食べられる。前述の小売り大手などのほか、コープさっぽろ(札幌市)やイズミ(広島市)など地方の有力スーパーも受け入れを拡大。この取り組みが小売業界全体に広がれば、飲料・菓子だけでも4万トン以上のロス削減効果を見込める。

 卸からメーカーへ返品される加工食品は年間約900億円(15年度)に相当するとみられる。末端の小売価格は廃棄ロスを盛り込んだものであり、無駄を削減できれば、消費者にとっては商品の値下げとしてメリットを享受できる可能性もある。

 後半の3分の1である「販売期限」を延長する小売企業も増えてきた。流通経済研究所の調査では、過去3年間に加工食品の販売期限を延長した食品小売りは全体の約2割にのぼる。

 加工食品のなかでも、パンや豆腐、牛乳など「日配品」は販売期限延長による廃棄量削減への影響が大きい。日配品の小売店での廃棄は年間約2万トンとされ、さらなる削減が期待される。