政府の財源が限られるなか、教育政策にも効率性が強く求められている。幼児教育無償化に並び重要な高等教育向けの奨学金拡充では、豪州の先例に学ぶところが大きい。

小黒 一正[おぐろ・かずまさ]
法政大学
経済学部教授
2010年一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。旧大蔵省、一橋大学経済研究所准教授などを経て15年から現職。専門は公共経済学。

 AI(人工知能)やビッグデータといった第4次産業革命が進み、新たな知識や発想が経済成長の大きな源泉となる中、教育は未来を担う次世代への投資である。また、教育は「国家百年の計」であり、子どもが置かれた条件の違いを乗り越えて貧困の連鎖を断ち切る鍵ともなっている。

 自公政権は現在、高等教育の無償化や大学改革などを柱として、「人づくり革命」の検討を進めているが、そもそも高等教育の無償化に財源はいくら必要となるのか。

 2017年5月にまとめられた教育再生実行本部の第8次提言によると、大学・専門学校を含む高等教育の授業料を無償化した場合、約3.7兆円の財源が必要となる。所得制限(900万円以下の世帯に限定)を設けたとしても、2.7兆円が必要との試算結果が出ている。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2053文字 / 全文文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「気鋭の経済論点」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。