2018年度の与党税制改正大綱は、基礎控除の引き上げなど働き方による不公平解消に踏み出した。だが、給与所得控除の位置付けや各種控除の整理などにまで踏み込まないと改革は貫徹できない。


大和総研
政策調査部
主任研究員
1981年生まれ。2006年、大和総研入社。日本経済調査担当、財務省出向などを経て、15年から日本とアジアの経済・社会構造分析、金融資本市場の分析を担当。
2018年度の税制改正では、税制の質的な変化を伴う比較的大きな所得税の見直しが行われた。柱になったのは、企業などに勤める給与所得者に対する給与所得控除の上限を引き下げ、職業に関係なく対象となる基礎控除を引き上げるという改革だ。
●2018年度改正で本格化した所得税改革の柱

出所:大和総研の資料を基に本誌作成
控除とは、課税対象の所得を計算するために収入から差し引くものである。220万円を上限とする日本の給与所得控除は、これまでも高すぎると指摘されてきた。実際、フランス(年収1000万円の場合100万円、上限143万円)、米国(年収にかかわらず69万円)、ドイツ(年収にかかわらず12万円)など主要国に比べても大きいと財務省は主張している。
今回の改正では、その上限額を引き下げ、一部(10万円分)を基礎控除に移すことで、働き方に関係なく控除を平等にしていく方向へ動き出した。
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