コーヒー1杯の値段から世界の貧困や金融危機まで、現実経済は不思議な論点にあふれている。エコノミストは観察し、仮説を立て、そして検証するというプロセスの繰り返しで少しずつ真理に近づこうとしている。気鋭の論点をお届けする。
シリーズ
気鋭の経済論点

186回
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「CASE」の鍵は「マッチング理論」の社会実装にあり
マッチング理論は経済学で最も研究が活発な分野で、ワクチン予約をはじめ社会制度のデザインに使われてきた。ビジネス分野でも、次世代モビリティーサービス「CASE」市場のマッチングルールで、大きな役割を果たしつつある。
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新しい市場の創造は、競合との「共創」が成功のカギ
企業にとって新しい市場の創造は極めて重要だが、不確実性を伴う取り組みでもある。新市場創造がどのような事象であるかを整理したうえで、望ましいアプローチを検討すべきだ。
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幸福度マーケティングで実現する「企業変革」
今や世界的な課題である「幸せ、ウェルビーイング」の実現。ここを起点に企業と顧客、その他ステークホルダーとの関係性を構築する「幸福度マーケティング」は、今後、企業経営の勝ち筋の一つになる。
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ガバナンスコード改定、社外取締役3分の1以上の経営へ
コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が今年6月改定された。社外取締役を取締役全体の3分の1以上にする。経営には本気のガバナンス戦略が必要になる。
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「2050年脱炭素」へ始まった世界競争、3つの連携で産業界の革新を
脱炭素への動きが世界で激しくなっている。近年の動きだけを見ても、欧州連合(EU)が2019年12月、50年に温暖化ガスの排出実質ゼロを決め、昨年末には途中の30年で55%減(1990年比)とする目標を設定した。
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国や自治体に広がる「ナッジ」、行動経済学で政策効果を高める
「ナッジ」は、合理的になれない人間に、よりよい行動を促そうという行動経済学の考え方だ。横浜市など国内の自治体でも、環境や教育、税などの施策に生かすケースが出始めた。
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八百屋が実践、最先端の経営学 繁盛の秘密は「5原則」
青果店の退潮が止まらない一方、都市部には競争力のある繁盛店が点在する。実際に店頭に立ち調査した結果、その強さを支える原理の一端は、経営学の新理論として注目を集める「エフェクチュエーション」に合致するのだ。
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世界で圧倒的に低い女性議員比率、クオータ制などで抜本改革を
日本では、政治など意思決定の場における女性比率が、世界と比べて極めて低い。世界はクオータ制などで1990年代から改革を進めた。日本も取り組む時だ。
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日独老舗生き残りの共通点は、経験則が生む「独自性の核」
経営学と歴史学の融合が進む中、老舗企業に改めて注目が集まっている。古文書などの1次史料を発掘しながら研究、事業存続のメカニズムを分析。日独の比較から共通点と相違点が浮かび上がってきた。
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パート女性の実質失業100万人超え、本気の対策を
新型コロナウイルスの感染拡大で、パート・アルバイトの就労時間が激減している。女性では約103万人が失業に近い状態だ。対策は社会が「コロナ対応力」を付けることにもなる。
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国産志向の背景にある「存在脅威管理論」
コロナ禍が長期化する中、消費者の心理状態に変化が生じている。外出自粛に納得感が強いほど国産品を選ぶ「ニューノーマル」の消費者が見えてきた。
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菅首相の重要政策「地銀再編」は、4つの方策で
地方銀行が厳しい経営環境にさらされている。菅新政権はその再編を掲げる。「リージョナルメガバンク」「プラットフォーマーによる再編」など4つの方策を示した。
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「社内イノベーター」のジレンマ、「起業家志向性」指標で解明
企業に創造をもたらす「社内イノベーター」は周囲とのギャップに不満を持つことがある。「起業家志向性」という指標から、こうした「社内イノベーター」のジレンマを乗り越える方法が見えてきた。
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蓄電池大量整備、FIT再評価……再エネ拡大へ本気の政策を
国際公約達成のためにも温暖化対策が急務だ。温暖化ガス大幅削減へ蓄電池整備など再エネ拡大の仕組み作りが欠かせない。
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コロナ下の組織文化、「つながり」「決まり」が過剰に
コロナ下において、日本企業は「つながり」や「決まり」を従来にも増して重視する傾向がある。「これまで通り」でなく、ポテンシャルを生かす方向にかじを切るべきだ。
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新型コロナが問う、「若い世代から救う」は正しいか
新型コロナウイルスの感染拡大は、誰を優先して救うかという重い課題を突きつけた。医療機器資源の限界からだ。日本は議論を深める時期に来ている。
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PCとテレビ、特需続かず データで見るコロナ禍の消費
新型コロナウイルスとの戦いで、自粛生活が続く消費者。統計行政の新たな取り組みから、変化がリアルに浮かび上がった。
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経済成長と因果関係なし。開業率にこだわるのはやめよう
スタートアップ支援は重要だが、日本の政策は方向が間違っている。開業率でなく、質を見極めた支援に切り替えるべきだ。
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国の知財投資、高める仕組み作りを
予算の大型化に懸念が集まるが、真の課題は建設投資に偏りすぎであることだ。付加価値の源泉は知財に移っている。無形資産投資を高める予算改革が必要だ。
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「AIの次」獲得競争、舞台は量子コンピューター
近年、大学だけが最先端技術の芽を生み出せる場所ではなくなり、分野によっては主導権が企業に移りつつある。大学側も、起業家養成機関となり、次々と起業するぐらいの気構えが必要だ。
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