経済
田村 賢司
たむら・けんじ
本誌主任編集委員。税財政、社会保障、企業財務、会計などが専門。

日銀の統計“ミス”で個人金融資産に占める投資信託の比率が急落した。アベノミクスで株価は2.2倍になったが「貯蓄から投資へ」は停滞。そこには人口減に関係する意外な理由がある。

 日本の個人の金融資産は、その52.5%(2017年度末)が預貯金に偏る。米国の約4倍、ユーロ圏の約1.6倍にも達する預貯金への偏在を変えることは政府にとって長年の課題でもあった。

 「貯蓄から投資へ」。1996年1月に就任した橋本龍太郎首相が金融市場の大規模な自由化・国際化を図る日本版ビッグバンを主導した狙いの一つもこれである。だが、結局はほとんど進まず、標語は半ば忘れられた。

 そこに変化を起こしたのが2012年末に政権復帰した安倍晋三首相のアベノミクスだった。5年余りで日経平均株価は2.2倍に急騰。その過程で株式・投信などの利益を一定額まで非課税にするNISA(少額投資非課税制度)なども設けた。追い風を受けるように金融資産に占める投信の保有比率は12年末の約4%から5.8%へ上昇したのだ。投資に慣れない個人の入門編が投信だとすれば、貯蓄から投資への転換がようやく動き始めたようにも見えた。