経営
山川 龍雄
やまかわ・たつお
本誌編集委員兼BSジャパン「日経プラス10」キャスター。NY支局長、本誌編集長などを経て現職。

 任天堂のスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」が世界的なブームを巻き起こしている。ソニーも家庭用ゲーム機「プレイステーション4」が好調だ。両社の成功には共通項がある。

 「ポケモンGO」が社会現象となっている。米国でサービスが開始された7月6日からわずか2週間で任天堂の株価は2.2倍となり、時価総額も2兆4000億円超増えた(7月19日の終値で計算)。長年、企業取材を続けてきたが、ヒット商品1つで、これほど短期間に時価総額を急増させた例は記憶にない。

 このゲームは街を歩きながら、様々なキャラクターを獲得していく。「引きこもりの人が外出するきっかけになった」「メタボ改善につながる」といった好意的な意見がある一方、歩きスマホでの事故などが多発。世界中のメディアが功罪両面を取り上げている。

 ソニーもゲーム事業が好調だ。傘下のソニー・インタラクティブエンタテインメントが手掛ける「プレイステーション4」は今年5月に累計販売台数が全世界で4000万台を突破。シリーズの中で、過去最速の売れ行きだ。ソニーの業績は回復基調にあるが、けん引役は明らかにゲームだ。

 両社とも、一度はゲームで世界を席巻した過去があるが、その後は順風満帆とは言えなかった。再びゲーム復権の足掛かりをつかんだ理由は何か。共通するのはマーケティング上の割り切りだ。「日本市場」と「自前主義」という2つのこだわりを捨てたことが大きい。

 IT業界に詳しい石川温氏は「ゲームの主戦場は米国。任天堂もソニーも米国を優先する傾向が強まっている。それに日本人は米国ではやると、余計に買いたくなる」と指摘する。

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