企業経営
鈴木 哲也
すずき・てつや
本誌副編集長。日本経済新聞社でニューヨーク支局、企業報道部などを経て現職。

ウォルマートからコカ・コーラまで米国を代表する消費関連企業が海外で試練に直面している。IT業界では覇権を握った米国だが、世界の消費者を魅了する力は減退しているようだ。

 2017年度に売上高が5000億ドル(約55兆円)を突破した世界最大の企業、米ウォルマート。4月末、子会社で英スーパー業界3位のアズダが、同2位のセインズベリーと経営統合することで合意した。日本で例えれば、ウォルマート子会社の西友が、2位のイトーヨーカ堂と合併するような話だ。

 ウォルマートが1990年代に買収したアズダは海外事業の中で成功例とされてきたが、ウォルマートは統合会社への出資比率が5割を下回り、事実上の事業売却とも言える。ネット全盛時代の新たな環境に対応するため、手を打たざるを得なくなったのだ。

 一方で、消費市場の急拡大が見込めるインドでネット通販最大手を買収する。160億ドルという巨費を投じて海外事業の再構築を急いでいる。

 そんな中で2002年に進出した日本事業の行方はどうか。悪戦苦闘しながら西友に対して米国流のディスカウントストアの経営ノウハウを移植し「かなり稼げるようになった」(西友元幹部)というが、なおウォルマートが理想とするような投資効率からは程遠い。楽天と提携してネット事業を強化する方針だが、アズダに対する動きを見れば、「将来は事業売却も視野に抜本的な手を打つ可能性もある」(同)だろう。