企業
鈴木 哲也
すずき・てつや
本誌副編集長。日本経済新聞社でニューヨーク支局駐在、企業報道部などを経て現職。

 セブン&アイの鈴木敏文会長が退任する。背景には部下のセブンイレブン井阪隆一社長、元上司の伊藤雅俊名誉会長との感情のもつれがある。誰にとっても他人事でない人間のさがが見える。

 男の嫉妬ほど怖いものはない──。会社の同僚との日常会話や酒の席で、こんな言葉を耳にすることはよくあるだろう。筆者も胸に手を当てて考えてみれば、自分よりも才能あふれる同僚や部下の活躍を手放しでは喜べず、疎ましく思ったことは何度もある。「人間誰にでもある感情だから仕方がない」と思いながら、やり過ごしてきた。

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長やその周辺を取材してきて、カリスマと言われた経営者も、同じような感情を持っていたのではないかと、感じている。

 鈴木会長が4月に退任を表明したきっかけは、傘下のセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長を更迭する自らの人事案が取締役会で否決されたことだ。鈴木会長は退任の記者会見で、井阪社長について、こう述べた。

次ページ 鈴木会長も嫉妬される対象