経営
山崎 良兵
やまざき・りょうへい
本誌副編集長。ニューヨーク支局、日本経済新聞社証券部などを経て現職。

 米アマゾン・ドット・コムの家庭用ロボット開発が注目を浴びている。インターネット小売りのイメージはもはや時代遅れだ。研究開発企業として圧倒的な存在感を示すようになっている。

 アマゾンが家庭用ロボットを開発し、来年にも発売する可能性がある──。

 4月下旬、米国発のニュースが世界を駆け巡った。カメラと音声を認識するAI(人工知能)を搭載。自律走行が可能で、家の中を動き回るロボットになりそうだという。

 「ドラえもん」の世界に近づくようなロボットをアマゾンが開発していても不思議ではない。今やアマゾンは世界一の研究開発企業だからだ。

 米調査会社がまとめた2017年の米国企業の研究開発費ランキング。アマゾンは前年比41%増の226億ドル(約2兆4153億円)でトップになった。グーグル親会社のアルファベットを抜き、マイクロソフトやアップルの2倍近い水準だ。日本で首位のトヨタ自動車と比べても、2.3倍に相当する。

 ロボット開発を支えるのは、このような膨大な研究開発費だ。アマゾンの人材募集サイトで「Robotics(ロボティクス)」と検索すると、ロボット工学やAIの機械学習の専門家など500近いポジションが見つかる。

 家庭用ロボットの開発を担うとされるのが米シリコンバレーにあるアマゾンの研究所「Lab 126」だ。電子書籍やネットの閲覧に使うタブレット「キンドル」、ネット上の動画をテレビ画面に高精細に映し出す「Fire TV」、音声認識スピーカー「アマゾンエコー」を開発するなど、豊富な開発経験を持つ。

 しかもアマゾンは家庭用以外のロボット開発ではすでに実績を積み重ねている。「物流倉庫向けロボットでは、アマゾンの技術力は世界最高レベルだ」。物流関連の自動化システムを手掛ける日本メーカーの経営幹部はこう認める。

 買収した米ロボットメーカーのキバ・システムズ(現アマゾンロボティクス)の技術を活用。商品を入れた棚を運ぶ自律走行式ロボットを開発し、世界各地のアマゾンの倉庫で何万台も稼働させている。

 さらに研究者や学生、企業を対象にロボット技術を競う大会「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ」も開催。優れた新技術や人材にも目配りする。

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