医療
庄子 育子
しょうじ・やすこ
本誌編集委員。「日経ヘルスケア」など医療系雑誌の記者を経て現職。医療局編集委員も兼任。

 画期的な新薬が次々と登場している。患者にとって福音だが、価格が非常に高いため国の医療保険財政に与える影響は大きく、現行システムの放置は許されない。

 最近、薬剤の価格に関するニュースが増えてきた。最も注目を集めているのが、新たな仕組みでがん細胞を攻撃する「オプジーボ」。小野薬品工業が開発した、日本発のこの薬は2014年9月に皮膚がんの一種である悪性黒色腫で使えるようになった。2015年12月には肺がんの一部でも健康保険が適用された。具体的には、肺がんの9割近くを占める非小細胞肺がんで、かなり進行したり、再発したりして手術不可能なケースが健康保険の対象になる。

 薬価は20mg1瓶が15万200円、100mg1瓶が72万9849円だ。肺がんの場合、薬剤費は体重60kgの患者で1回130万円以上かかり、年間で約3460万円にも上る。

 高額ではあるが、国の高額療養費制度を利用すれば患者の負担は大幅に軽減される。だが、高額薬剤の使用が増えれば当然、医療保険財政を圧迫する。

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