政策
鈴木 哲也
すずき・てつや
本誌副編集長。日本経済新聞社でニューヨーク支局、企業報道部などを経て現職。

 宅配便とコンビニエンスストアという日本が誇る便利な生活インフラが壁にぶち当たっている。人手不足をきっかけに綻びがあらわになり、かつてない軌道修正を迫られている。

 「コンビニで荷物を受け取る方が、社会に貢献できるんじゃないか。お客様にこういう心理が働いている」

 セブン-イレブン・ジャパンの石橋誠一郎・商品本部長が3月末の記者会見で語った。セブン&アイ・ホールディングスが展開するネット通販「オムニ7」の利用者は最近、商品を自宅に届けてもらうより、コンビニで受け取る傾向が強まっているという。

 昨年末から今春にかけてネット通販の急増に人手が追い付かず、日本の物流がパンク寸前であることが明らかになった。佐川急便の配達員が怒って荷物を投げつける動画や、ヤマト運輸がサービスを縮小するニュースなどを消費者は毎日のように目にしている。特に配達員を苦しめる元凶が、不在だった顧客宅への再配達だ。

 「今日も再配達をさせてしまうかもしれない」──。こんな罪悪感から最寄りのコンビニに商品を留め置きしてもらうサービスを指定する顧客が増えている。消費者として便利さを多少犠牲にしても、働く人の苦労を気遣うムードが生まれているのは良いことだ。そうであれば商品を預かってくれるコンビニの人手不足の深刻さにも、もっと目を向けていいだろう。

 「深夜は従業員1人で運営したいのだが、防犯上危ないので2人置かねばならず採算が合わない」。ある大手コンビニの加盟店オーナーは時給の高騰に苦しむ。最近は日本人だけでなく中国人の採用も難しく、多様な国籍のアルバイトを探すしかない。深夜から朝まで営業しても客が10人未満のこともあり、24時間営業をやめたいのだが、本部との契約上許されないのだ。

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