経済・金融
山川 龍雄
やまかわ・たつお
本誌編集委員兼BSジャパン「日経プラス10」キャスター。NY支局長、本誌編集長などを経て現職。

ブロックチェーン、ウォレット、秘密鍵──。仮想通貨のニュースは専門用語が飛び交い、一部には誤解も生じている。5つの勘違いを解き明かしながら、コインチェック事件を振り返る。

(1)580億円が盗まれた

 そもそも交換事業者のコインチェックから580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出したというのは、どういう現象なのか。銀行強盗のように現金が持ち出されたわけではない。仮想通貨は「ウォレット」という電子的な財布に入っている。「秘密鍵」と呼ばれる英数字が羅列された暗号を知る人だけがウォレットの中身を動かせる。

 今回の事件は、コインチェックが管理していた顧客の秘密鍵が流出した。例えれば、貸金庫の鍵を預かっていた銀行がその鍵をまとめて盗まれたようなものだ。金庫の中身が流出したわけではない。今後、犯人が何らかの手段で換金して初めて、本当に盗まれたことになる。

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