セブン&アイ・ホールディングスのトップを突然、退任した鈴木敏文。創業オーナー・伊藤雅俊との絶妙で微妙な関係の中で、鈴木は「孤高」の経営を貫いた。複数回のロングインタビューを基に、変化に挑み続けた男の矜持を新たに読み解いていく。雑誌『日経ビジネス』の連載として2016年に掲載された。
シリーズ
孤高 変化に挑み続けた男

完結
10回
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鈴木敏文 最終回「60歳過ぎたら引退と思っていた」
80歳を超えてまで、巨大グループに君臨し続けた鈴木敏文。カリスマゆえに、後継者育成が後手に回るジレンマを抱え続けた。それでも、「ミスターコンビニ」としての功績が揺らぐことはない。=敬称略
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鈴木敏文 第9回「ヨーカ堂は、やっぱり変わらなかった」
イトーヨーカ堂は持ち株会社制になった2005年以降、苦戦が鮮明になる。鈴木敏文は、「自主マーチャンダイジング」が復活のカギだと説き続けた。だが、祖業の病巣は根深く、創業家との確執の遠因にもなった。
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鈴木敏文 第8回「スーパーは米国の物まねだ」
かつてイトーヨーカ堂は、創業者・伊藤雅俊の「商人道」が高収益を支えた。だが1980年代に入ると、米国譲りの「チェーンストア理論」の限界が露呈。鈴木敏文はV字回復させたが、総会屋事件を境に逆風が強まる。
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鈴木敏文 第7回 「米セブン買収、再建に自信あった」
鈴木敏文は、米セブンイレブンの買収に格別の思い入れがある。日本育ちの事業モデルを、巨額の負債を抱えた「本家」に移植。面従腹背の経営陣に苦慮しつつ、破綻企業の再建に成功した。
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鈴木敏文 第6回 「百貨店もっと商品力あるかと思った」
そごう・西武の巨額買収は、その後のコングロマリット化の第一歩だった。鈴木敏文は退任までの10年、相次ぐ買収で、新たな流通業を模索した。だが、相乗効果を生むのに苦戦。膨らんだ帝国はきしみ始めた。
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鈴木敏文 第5回 「コンビニは終わっていない」
鈴木敏文はコンビニの未来を「オムニチャネル戦略」に託していた。だが、新経営陣の下で、鈴木肝煎りの事業は軌道修正が検討されている。「コンビニ飽和論」を否定する言葉に、いら立ちが透ける。
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鈴木敏文 第4回 「業界のことなんて、何も知らない」
高品質のPB(プライベートブランド)商品と、小売業による銀行業参入。いずれも業界の常識を知らない「素人感覚」が、消費者ニーズを捉えた。鈴木敏文の信条「変化対応」が、コンビニを進化させた。
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鈴木敏文 第3回 「お金がなかったから、強くなった」
コンビニ業界で圧倒的な収益力を誇るセブンイレブン。強さの源流は、当初の資金不足から考え抜かれた「持たざる経営」だ。ダイエー・中内が目指した「流通革命」を鈴木は別の方法で貫徹した。
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鈴木敏文 第2回 「中内さんの下だったら1年で辞めた」
経営者・鈴木敏文の挑戦は、創業者・伊藤雅俊の慎重さと表裏だった。自らの成功は、中内㓛や堤清二の下ではあり得なかっただろうと言う。“ペテン”にかけられ入社した会社に半世紀をささげた理由とは。
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鈴木敏文 第1回 「辞めさせられたわけではない」
今春、セブン&アイ・ホールディングスのトップを突然、退任した鈴木敏文。創業オーナー・伊藤雅俊との絶妙で微妙な関係の中で、鈴木は「孤高」の経営を貫いた。複数回のロングインタビューを基に、変化に挑み続けた男の矜持を新たに読み…
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全8回