
人生を存分に楽しんできたはずの母に、認知症の疑いが生まれた。さんざん目をそらしてきたが、病院で診断を受けさせなくては。が、ここで問題になったのは、母本人が病院に行きたがらないということだった。
母は「私はなんともない」といい、徹底抗戦した。母は理性的ではあるが、それ以上に感情の人でもある。もとより知っていたが、認知症に関しての抵抗はことのほかすさまじかった。気持ちは分かる。私だって、自分の場合、するりと事実を認められるか自信がない。
母は自尊心を守るために周囲に刃を向ける。向いた先には、独身で同居して介護に当たる肉親、すなわち私がいた。介護される側とする側の確執は、割と一般的なものらしい。たまに見舞いにやってくる親族に、介護担当の者の悪口を言うこともあるとか。
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