(イラスト=モリナガ・ヨウ)

 同居する母の様子がおかしいとはっきり気がついたのは、2014年7月のことだった。「預金通帳が見つからない」と言いだしたのである。

 一緒に探すと通帳はいつものところにあった。やれやれと思うと数日後にまた「預金通帳がない」という。繰り返しているうちに、最新の年金振込のまるまる1回分が引き出されているのに気がついた。こんな大金を一気にまとめて引き出すというのは尋常ではない。

 財布そのほかを見せてもらっても、お金はない。聞いても「記憶にない」。どうなったのかは今でも不明だ。おそらくは家のどこかにあるのではないかと思うのだが。

 1934年、昭和9年生まれの母、このとき80歳である。