連載第3回はESG(環境、社会、ガバナンス)という言葉に象徴されるサステナブル経営がテーマ。SDGs(持続可能な開発目標)を参考に、肉や野菜の摂取量といった独自の非財務目標を掲げた。「ESGという視点は今の時代、最も有効な改革の原動力になる」という。

西井孝明[にしい・たかあき]

(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)
1959年生まれ。78年奈良県立畝傍高等学校を卒業後、同志社大学文学部に入学。82年、同志社大学を卒業し、味の素に入社。営業やマーケティング、人事などを担当。2004年に味の素冷凍食品に出向し、取締役に就任。当時不振事業だった家庭用冷凍食品の業績を改善。09年には本社人事部長を務め、11年に執行役員に就任する。13年にはブラジル味の素社長に就任。15年に創業家を除いて、歴代最年少となる55歳で味の素社長に就任。

グローバルトップ10を目指す上で、ESGを重視するのはなぜですか。

 私が2017年2月に発表した中期経営計画の根幹にあるのは、サステナブル経営という考え方です。最近では「ESG(環境、社会、ガバナンス=企業統治)」というキーワードで注目を集めていますが、食品世界最大手であるスイスのネスレなどは00年代初めから力を入れてきています。ネスレは「CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)」という言葉を使っていますが、私たちは「Ajinomoto Group Shared Value(ASV)」と名付けて、前任の伊藤(雅俊)の時代から経営の軸に位置づけてきました。

 私はこのASVに従い、さらに事業の選択と集中を進めることが必要だと考えました。そうしないと、味の素はどのような社会課題に対して、どのようなソリューションを提供する会社なのか、明確に社内外に説明できないと思ったからです。

社会的な価値が経済的な価値を生む
●西井社長が考える味の素のサステナブル経営(2020年度目標)
社会的な価値が経済的な価値を生む<br /><small>●西井社長が考える味の素のサステナブル経営(2020年度目標)</small>
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