経営教室シリーズ第5弾は調味料市場で国内最大手、味の素の西井孝明社長。働き方改革やESG(環境、社会、ガバナンス)重視の経営で注目を集める。矢継ぎ早の改革の根底には、自らの信念を貫きたいという強烈な執念がある。

=本文敬称略

(写真=的野 弘路)
西井孝明[にしい・たかあき]
1959年 12月奈良県田原本町で生まれる。父親は大阪市の職員。母親は専業主婦
75年奈良県立畝傍高等学校に入学。弓道部に所属
78年奈良県立畝傍高等学校を卒業後、同志社大学文学部に入学
82年同志社大学を卒業後、味の素に入社。名古屋支店営業第1課に配属
85年名古屋支店静岡営業所に異動
89年本社ギフト事業部で、山口範雄現特別顧問と中元や歳暮の商品を開発
96年食品事業本部食品部。伊藤雅俊現会長の下でマヨネーズなどを担当
2002年コーポレート人事部
04年味の素冷凍食品取締役、家庭用事業部長
09年本社人事部長。2度目の人事部配属に
11年執行役員
13年ブラジル味の素社長になり、取締役常務執行役員に
15年 6月味の素社長兼CEO(最高経営責任者)

 9月20日、米ニューヨーク。味の素社長の西井孝明(58歳)は、世界から詰めかけた学者や栄養士など数百人を前にステージに上がった。

 「味の素はこれまで、この問題について比較的おとなしくしてきた。だが、これからはもっと大胆に発言する」

 登壇したイベントの名は「ワールドうま味フォーラム」。うま味調味料「味の素」に対する世間の誤解を解くために、西井が開催を決めた。「ウチがこんなことをやる時代が来るとは」。ある味の素幹部は感慨深げにつぶやいた。