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経営教室シリーズ4の講師は焼き鳥チェーン最大手、鳥貴族の大倉忠司社長。1品298円均一という低価格と品質へのこだわりで、会社を急成長させてきた。柔和な笑顔に潜む反骨魂。「うぬぼれ経営」を標榜する真意とは。

=本文敬称略

(写真=的野 弘路)
大倉忠司[おおくら・ただし]
1960年 2月大阪府東大阪市で生まれる。両親は町工場を経営
78年高校を卒業後、調理師専門学校に入学
79年大阪の名門ホテルのイタリアンレストランに就職
82年地元の焼鳥店に就職し、経営の基礎を学ぶ
85年独立し、鳥貴族1号店をオープン
86年鳥貴族の前身のイターナルサービスを設立し、チェーン展開を開始
2003年大阪・道頓堀に出店し、人気に火が付く
05年東京に初めて進出する
08年100店舗を達成する
12年300店舗を達成する
14年東証ジャスダックに上場
16年東証1部に上場
17年28年続いた「280円均一」から、「298円均一」に値上げを断行。
鳥貴族の共通の価値観を明文化した「TORIKIWAY∞」を策定

 「居酒屋業界で今最も勢いのある企業はどこか?」。業界関係者に尋ねると、多くが「鳥貴族」の名を挙げる。

 飲み物を含めてメニューは298円均一。食材はすべて国産で、焼き鳥は毎日店内で5時間かけて仕込む。「悔しいが、コストパフォーマンスや満足度で、鳥貴族を上回る居酒屋チェーンは見当たらない」。競合他社の関係者らは、そう言ってほぞをかむ。

 1985年に大阪で創業し、2003年に道頓堀に出店すると人気に火が付いた。05年に東京に進出し、08年に100店、12年に300店を突破。14年に東証ジャスダックに上場してから、東証2部(15年)、東証1部(16年)と短期間で駆け上がった。東名阪の三大都市圏を中心に665店(7月末時点)を展開し、18年7月期の売上高は過去最高の約340億円を見込む。日本を代表する焼き鳥チェーンだ。

 その鳥貴族を率いるのが、創業者で社長の大倉忠司(58歳)である。

 居酒屋業界では日々、生き馬の目を抜く競争が繰り広げられている。出店を巡るライバル同士のいさかいも絶えない。そんな業界において、「焼き鳥×均一価格」という成長の鉱脈を見つけた鳥貴族の独走を、ライバルが放っておくはずがない。「均一価格」を前面に打ち出す低価格の焼き鳥チェーンが、雨後のたけのこのように現れている。

 しかし大倉は、「商品やサービス、店づくりまで、完成度が全く違う」と意に介さない。

日経ビジネス2018年8月27日号 56~59ページより目次