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経営教室シリーズ第8弾の講師は、ソニーの平井一夫会長。2018年3月期に営業最高益を20年ぶりに更新。ソニーを復活に導いた。多国籍企業を再浮上させた原動力は、「傍流」を歩んだからこその強さだ。

=本文敬称略

(写真=吉成 大輔)
平井一夫[ひらい・かずお]
1960年12月銀行員である父の長男として東京都杉並区で生まれる
67年日本の小学校に入学も、1学期のみ通い、父の転勤で米ニューヨークへ
71年父の転勤で日本に帰国
73年再び父が海外赴任となり、カナダ・トロントへ
75年父の転勤で、日本に帰国(9月)。東京都調布市のアメリカンスクールへ
77年父の3度目の海外転勤で米サンフランシスコへ
78年単独で帰国。親戚宅で居候しながらアメリカンスクールへ
79年9月国際基督教大学入学。英会話講師のアルバイトでプレゼンの基礎を学ぶ
84年4月CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社
94年ソニーミュージックのニューヨークオフィスに赴任
95年8月ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)米国法人へ出向
96年7月SCE米国法人のEVP(上級副社長)兼COO(最高執行責任者)
99年4月SCE米国法人の社長兼COO
2006年12月SCE 社長兼COO。ソニーのグループ・エグゼクティブ(グループ役員)に
09年4月ソニーEVP。SCEを含めたグループ全体のネットワーク戦略を指揮
11年4月ソニー副社長。赤字のエレクトロニクス事業の再建に着手
12年ソニー社長兼CEO
18年20年ぶりの営業最高益を更新。社長兼CEOを退任し、会長に

 社長在任中にこれほど評価が変わった経営者も珍しい。平井一夫、58歳。昨年3月末まで、ソニーの社長兼CEO(最高経営責任者)を務めた。

 就任当初は苦難の連続だった。エレクトロニクス(エレキ)事業の不振で4期連続の最終赤字に苦しむ中、2012年4月に経営トップを引き継いだ。就任1年目は最終損益が黒字転換したが、資産売却など一時的な利益貢献が中心。翌期以降は再び最終赤字に陥った。パソコン事業からの撤退や人員削減などが先行し、関係者から批判が噴出した。「平井ではソニーは復活できない」