(イラスト=五島 聡)
(イラスト=五島 聡)

 1966年、トヨタは大衆車のベストセラー、カローラを発売した。開発主査は長谷川龍雄。元飛行機のエンジニアで後にトヨタの専務になる。

80点プラスアルファ
<b>1966年、トヨタはカローラを発売した。大衆車のベストセラーとして、後に世界140カ国で3000万台以上を売り上げることになる、その第一歩を踏み出した</b><br />(写真提供=トヨタ)
1966年、トヨタはカローラを発売した。大衆車のベストセラーとして、後に世界140カ国で3000万台以上を売り上げることになる、その第一歩を踏み出した
(写真提供=トヨタ)

 カローラは世界140カ国で3000万台以上を売り、日本のモータリゼーションのシンボルとなった車だ。

 当時、1台の価格はスタンダードが43万2000円。同時代のサラリーマンの平均年収、48万6500円よりも安かった。ローンで支払えば中流層ならば充分、手が届く初めてのマイカーだった。

<b>カローラの開発主査を務めた長谷川龍雄。元飛行機のエンジニアで、1946年にトヨタに入社。後に専務となる</b><br />(写真提供=トヨタ)
カローラの開発主査を務めた長谷川龍雄。元飛行機のエンジニアで、1946年にトヨタに入社。後に専務となる
(写真提供=トヨタ)

 長谷川はカローラの特徴について「80点主義プラスアルファの思想」と言っている。

 「大衆車は性能、居住性、価格などあらゆる面で80点以上の合格点でなくてはならない。あとは、どの項目を90点を超えるものとし、そして、お客さまの心をつかむかだ」

 長谷川が考えた「90点を超える」項目とは排気量、スポーティなデザイン、そして現代性だった。日産サニーよりも排気量で100cc上回るエンジンを載せ、シフトレバーはフロアに置いた。実際に買うのはファミリー層だが、若者が好むようなスポーティなデザイン、パワフルな仕様にしたことがヒットにつながった。

 同じ年、大衆はどういった耐久消費財を自宅で所有していたのか。洗濯機や冷蔵庫など、それぞれの世帯普及率は次の通りである(「朝日年鑑」より。カッコ内は1980年の数字)。

電気洗濯機 75.5% (98.8%)
電気冷蔵庫 61.6% (99.1%)
電気掃除機 41.2% (95.8%)
カラーテレビ 2.1% (98.2%)
ルームエアコン 2.0% (39.2%)
自家用車 12.1% (57.2%)

 カラーテレビやエアコンより自家用車を持っている家庭の方が多かった。それくらい、乗用車は身近な製品になりつつあったのがその時代だった。

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