全5195文字
前回までのあらすじ

 第2次大戦を生き抜いた藤田俊雄は、商人としての道を追求しながら、スーパーマーケットチェーン、フジタヨーシュウ堂を築く。その会社に中途入社した大木将史は実力を発揮して幹部となる。事業の多角化を進める中で、将史は米国でコンビニエンスストアに出合う。慎重な俊雄を説得した将史は、米国最大のコンビニエンスストア運営会社、サウスカントリー社と提携、日本での展開への道を開いた。

1

 1973年(昭和48 年)8月28 日──。

 ここ数日、30 度を超える真夏日が続いている。今日も暑い。予報では30 度を優に超える。立秋が過ぎても、全く秋らしい気配は感じられない。

 東京の江東区豊洲で本山酒店を経営する本山憲夫は晴れ渡った空を見上げて、ひと際憂鬱な気分に陥っていた。