戦争を生き延び、衣料品店「ヨーシュウ堂」を営む藤田俊雄は食料品から日用品まで扱う品を広げる。さらに米国の流通を視察し、スーパーマーケットの時代が来ることを確信し、チェーンストア化を決意する。四井銀行千住支店支店長の斉木秀治の支援を受け、融資を得た俊雄は出店を進める。そんな中、ヨーシュウ堂の運命を変える男、大木将史(おおき・まさし)が本社にやってきた。
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──人材、人材……。
俊雄は、最近、うわ言のように繰り返す。
妻の小百合が、朝食の席で奇妙な顔をして俊雄を見つめる。なにかついているのか、と顔を撫でると、そうじゃないと答える。
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