戦争を生き抜き、終戦後、商人になることを決意した藤田俊雄は、異父兄の貞夫、母とみゑが営む洋品店「洋秀堂」(後にヨーシュウ堂に改名)で奮闘する。店は売り上げを伸ばし、衣料品に加え食料品も扱う店へと成長した。だが、肉親としてはもちろん、商売の師として慕っていた貞夫が急逝する。葬儀の後、もう一人の異父兄、正夫に「店を乗っ取るつもりか」と問われ、俊雄は動揺した。
「この店が私のものだって、これっぽっちも考えたことはありません」
俊雄は、親指と人差し指を微妙に離して重ね、「これっぽっち」を強調した。
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