前回までのあらすじ

 終戦後、商人として生きることを決意した藤田俊雄は異父兄貞夫、母とみゑが切り盛りする東京・北千住の洋品店「洋秀堂」で働き始める。1ダース(12枚)を売って2枚分の儲けという薄利で商売をし、店は多くの客を集める。日本経済が復興する中、「ヨーシュウ堂」と改名した店も売り上げを伸ばす。貞夫と俊雄らは店を広げ、衣料に加え食料品も扱いはじめ、さらに成長を続けていく。

 貞夫が亡くなった。突然の死だった。昭和31年7月30日のことだ。

 貞夫は、最近、仕事中にも咳き込むことがあり、店の奥で体を休めることが度々あった。