前回までのあらすじ

 藤田俊雄は食料品店を営む母とみゑと遊び好きな父勝一の間に生まれたが、両親は離婚。俊雄はとみゑとともに異父兄、貞夫が浅草に開いた洋品店で暮らし、鉱山会社に就職する。戦時中、出征した俊雄は、仲間の兵士や道で会った老婆が、目の前で米軍に撃たれて殺される体験をする。とみゑや貞夫は空襲で焼け出されたが、北千住で商売を再開した。俊雄は生き残った意味を考えていた。

 俊雄は財閥系鉱山会社に復職した。はっきり言ってまだ何をしたいか見えてはいない。

 ただ、動かないといけないと思ったからだ。生き残った者の責任を果たすとはどういうことなのか、どうするべきなのか、をずっと考えていた。