前回のあらすじ

 昭和20年。復員した俊雄は、東京駅で一人の男にタバコをせがまれる。男は俊雄を闇市へと連れて行き、物のない中で、タバコが貴重品であることを教える。男は南方戦線の生き残りだった。

 大柄で、器用とはいえない俊雄。俊雄を育てた母、とみゑは俊雄の異父兄、貞夫と商売を営んでいるが、俊雄には外で仕事を探せ、と言う。そんなとみゑの言葉に俊雄は寂しさを覚えていた。

──なぜ母は一緒に商売をやろうと言ってくれないのか。

 その理由は父の存在にあるのだろう。