第2次大戦に敗れ、焼け野原と化した日本。苦しみから立ち上がり、豊かになっていく庶民の生活を支えたのが小売業だ。。“流通革命”と称されるほど激変する業界をけん引し、熱い闘いを繰り広げた男たちのストーリー。
シリーズ
二人のカリスマ

完結
69回
-
小説・二人のカリスマ 最終章 最終回 「2人で1人」
気持ちのどこかで徳久が人事案に反対するかもしれないと考えていた。しかしそれが現実になるとは信じられない気持ちだ。徳久は、自分の考えで反対しているわけではない。父である俊雄の考えを代弁しているのだ。
-
小説・二人のカリスマ 最終章2 「反対意見」
「それにしてもクロス・カウンターは、えらく社内事情に詳しいですね」週刊水曜日の記者、北見真一は言った。先ほどから編集長と、米国の投資ファンド、クロス・カウンターがアーリーバード&エフ・ホールディングスに送ったレターの文面…
-
小説・二人のカリスマ 最終章1 「株主からのレター」
国内大手の流通グループ、アーリーバード&エフ・ホールディングスでは、会社を育てた藤田俊雄の引退後、後継者である大木将史の体制が長く続いた。その中で、傘下のコンビニチェーンでは24時間営業などを巡って、コンビニオーナーから…
-
小説・二人のカリスマ 第16章4「潮時」
大手流通グループ、アーリーバード&エフ・ホールディングスの名誉会長、藤田俊雄は週刊誌記者の北見真一から、後継者問題で直撃取材を受ける。グループでは、強いリーダーシップで会社を牽引してきた大木将史が、80歳を超えてなお経…
-
小説・二人のカリスマ 第16章3「後継者」
大手流通グループ、アーリーバード&エフ・ホールディングスの名誉会長、藤田俊雄は傘下のコンビニチェーンのオーナーの息子から「24時間営業に意味はあるのか」と問われる。後継者である大木将史も80歳を超えており、俊雄は会社の今…
-
小説・二人のカリスマ 第16章2「不意の取材」
「他社のコンビニと話し合って棲み分けしたらどうかと思うのです。カルテルのようなもので違法なのかどうか検討しないといけませんが、コンビニが社会のインフラというなら許されるのではないでしょうか。共倒れで無くなってしまうよりマ…
-
小説・二人のカリスマ 第16章 1「24時間営業」
俊雄は、甲府市にあるアーリーバードのオーナーの家に来ていた。彼の霊前に線香をあげた。東京から秘書と共に社用車で2時間余りで到着した。中央本線のあずさかかいじに乗って行きたいと言ったのだが、車の方が便利だからと秘書に押し切…
-
小説・二人のカリスマ 15章 5「会社の心」
それまでエリート銀行員だった男が、コンビニで女子高生に叱られている姿は、リストラされた中高年の悲哀そのものだった。その姿は近所の噂となり、妻から「恥ずかしいからやめてほしい」「(娘が)コンビニに行けないって言ってるわよ」…
-
小説・二人のカリスマ 15章 4「妥協なき挑戦」
日本を代表するスーパーマーケットチェーン、フジタヨーシュウ堂の社長を藤田俊雄から引き継いだ大木将史だったが、日本では、総合スーパーが伸び悩んだ。68歳となった将史に、俊雄は、後継者を育て、引退時期を自分で決めるよう話すが…
-
小説・二人のカリスマ 第15章3「銀行を作る」
俊雄はスーパーマーケットチェーン、フジタヨーシュウ堂を育ててきたが、古参社員ら幹部が総会屋に金を渡して逮捕された事件の責任を取り、社長を退任する。後を継いだのは、アメリカから取り入れたコン藤田ビニエンスストア、アーリーバ…
-
小説・二人のカリスマ 第15章2「引退せよと?」
将史は腹の底から怒っていた。怒りの矛先をどこに向けていいのか悩むほどだ。もしここに誰もいなければ、馬鹿野郎!と怒鳴りたい。
-
小説・二人のカリスマ 第15章1「悔しくはないんか」
俊雄は、銀座1丁目にあるホテルセイヨーの前に立っていた。外観はまるで白い大理石の館のようだ。勿論大理石で造られているわけではないが、コンクリート特有の冷たさはなく、襞のある外壁が最上階まで続く姿は、西洋の館の屋根を思わせ…
-
小説・二人のカリスマ 第14章4 「謝罪会見」
「おかしなことを言うものではありません。会社は、私の私物ではありません。私は、オーナーですが、全ての株を持っているわけではありません。上場した以上は、株主の1人にすぎません。会社は多くの他人様のおカネで運営されているので…
-
小説・二人のカリスマ 第14章3「社長を辞めます」
企業で汚れ役を喜んで引き受ける人はいない。総会屋対策などは、その最たるものだ。
-
小説・二人のカリスマ 第14章2 「クーデター?」
藤田俊雄が率いるスーパーマーケットチェーン、フジタヨーシュウ堂は大胆な業務改革を断行し、バブルの崩壊で他社が大きな打撃を受ける中でも、着実に歩んでいた。だが、ある時、古参社員で監査役の森本保夫が総会屋に大金を渡した罪で、…
-
小説・二人のカリスマ14章1 「水面下の関係」
1980年代、コンビニエンスストアのアーリーバード事業を展開するスーパーマーケットチェーン、フジタヨーシュウ堂は経営の効率化に取り組んだ。競合する大手スーパーは土地を担保に事業を拡大したが、90年代に入り地価の下落ととも…
-
小説・二人のカリスマ13章4「総会屋事件」
1990年に入ると、株価や地価は大きく値を下げた。土地を担保に巨額の借り入れをしていたスーパーサカエやセイヨーにとっては逆風であり、銀行は巨額の不良債権を抱えた。米国では、アーリーバードを運営するサウスカントリー社が経営…
-
小説・二人のカリスマ 13章 3「君と私は水と油だ」
いつの間にか俊雄も将史も、食品スーパーの社長、脇谷崇史の気持ちになってしまったのか、沈痛な表情になっている。「それは大問題ですよ」将史は深くため息をつきながら言った。
-
小説・二人のカリスマ 13章 2「金が金を生む時代」
スーパーセイヨーの大館誠一の場合は、仲村よりもバブルに踊ったと言えるだろう。大館は、ビジネスに自分の美意識を持ち込んだ。俊雄や将史のようにどうすれば客に尽くせるかというシンプルな経営姿勢を持っていない。
-
小説・二人のカリスマ 13章 1「バブル」
将史が主導した業革(業務改革)でフジタヨーシュウ堂は劇的に業績が改善した。
おすすめのシリーズ
-
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
-
徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
-
クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
-
不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
-
菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
-
1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
-
10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
-
河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
-
ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
-
大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
-
グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
-
フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
-
ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
-
テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
-
70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回