10年先までに出る全商品のサイズ・性能をあらかじめ考えておく「一括企画」。「発売してから10年間戦える、理想のクルマ」をベースに、技術的・設計的に相似の新車を作り、開発コスト、期間を抑える「コモンアーキテクチャー」。相似形の利点を生かして、生産効率を上げ、新規の設備投資を抑制する「フレキシブル生産」。2005年から始まったマツダの長期ビジョン策定の中で、金井氏とそのチームが考えた生き残り策が、この3点を中核とする「モノ造り革新」。今までの業務プロセスを全て取り換える、大胆なプランだった。

金井 誠太(かない・せいた)
(写真=橋本 真宏)
マツダ会長。1950年1月17日生まれ、広島県出身。74年、東京工業大学工学部を卒業、東洋工業(現マツダ)入社。サスペンションなどシャシー(足回り)のエンジニアとして社歴を重ねる。2002年、主査を務めた初代「アテンザ」は世界的な評価を受けた。06年から研究開発担当の役員として、マツダの全車種を刷新する「一括企画」を主導。専務、副社長、副会長を経て、14年から現職。

 理想を掲げたのはいいのですが、それを共有するのは簡単ではない。実のところ社内でも、私に向かって真っ向から「それは間違っている」という人はいなかったと思いますが、一番多かったのは、「金井さん、何を言っているのか分かりません」という反応でした(笑)。