自動運転に必須とされるクルマの「目」だ。レーザー光線を使って周囲を詳細に測定し、どこにスペースがあるかも把握する。自動車大手が採用を決め、市場が一気に拡大する可能性が高い。
●仏ヴァレオのLiDARで周囲を測定したイメージ

9月下旬の仏パリ。試乗車に乗った記者は、自動運転に「最も不利」な状況に遭遇した。
当日は金曜日で、夕方になると華やかな市街地に繰り出すクルマで幹線道路に長い列ができていた。急ぐドライバーは無理やり隣の車線に割り込む。そこに急な夕立が降り始め、前方が一気に見えづらくなった。周辺状況が把握しづらいのに加え、周囲が次々に予測しづらい動きをする──。これが、自動運転を難しくさせた原因だ。
ただし、試乗したクルマはこうした悪条件をものともせず、割り込みにも極めて自然に反応した。急ブレーキで同乗者が前につんのめることもなく、幹線道路を15分ほど走り切った。
試乗したのは自動車部品大手の仏ヴァレオが試作した自動運転車「クルーズ4U」の最新型だ。単一車線の自動運転機能を備え、車線変更が可能な際にクルマがドライバーに合図を出す。10月1日に開幕したパリモーターショーに先駆けて本誌などに初公開した。
この試作車の特徴は、LiDARと呼ばれるレーザーレーダーをフロントバンパー下部に1つ搭載し、カメラとレーダーとを組み合わせて周辺状況を測定する点にある。同社のLiDARは、回転する鏡によってレーザーを周囲に振りまくように反射させるもので、145度の範囲で周囲を計測する。
この技術によって、昼でも夜でも、雨が降っていても霧が出ていても、200m以上先まで障害物を感知できる。同社によれば、カメラなどと組み合わせることで、誤認識は10億回に1度という精度をたたき出す。
●仏ヴァレオの試作車

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