実用金属の中でも最軽量のマグネシウム。 自動車の燃費改善の切り札として期待がかかりながら、長らく日の目を見てこなかった。 加工法や新たな合金の開発で、本格普及の道筋が見えつつある。

米テスラモーターズの主力EV(電気自動車)「モデルS」に代表されるように、アルミを主要部材として使う車種が市場に出回り始めている。しかし、金属加工メーカーや研究者らの目には、さらに新たな軽量素材も視野に入りつつある。マグネシウムだ。

マグネシウムの比重は鉄の約4分の1、アルミの3分の2と実用金属の中で最軽量。比強度(密度当たりの強度)も鉄とアルミを上回るため、強度を保ったまま、車体を軽くすることができる。温度変化による膨張は鉄やアルミよりやや大きいものの、振動吸収性や放熱性に優れているため、自動車の構造材に適していると言われてきた。
一方、マグネシウムには、(1)腐食しやすい(2)塑性加工が難しい(3)溶融時に難燃性のガスが必要で加工コストが高い──などの問題がある。このため、用途はハンドルの芯金など鋳物の小型部品に限られていた。
[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む