実用金属の中でも最軽量のマグネシウム。 自動車の燃費改善の切り札として期待がかかりながら、長らく日の目を見てこなかった。 加工法や新たな合金の開発で、本格普及の道筋が見えつつある。

大型部品への適用を狙う
●マグネシウム関連の技術開発
(写真=水野 浩志)
成型できる部品の重量が3倍に
加工速度が10倍になる合金を開発

 米テスラモーターズの主力EV(電気自動車)「モデルS」に代表されるように、アルミを主要部材として使う車種が市場に出回り始めている。しかし、金属加工メーカーや研究者らの目には、さらに新たな軽量素材も視野に入りつつある。マグネシウムだ。

実用金属で最軽量●金属の性能比較
注:*1=常温下での数値 *2=代表的な合金の数値

 マグネシウムの比重は鉄の約4分の1、アルミの3分の2と実用金属の中で最軽量。比強度(密度当たりの強度)も鉄とアルミを上回るため、強度を保ったまま、車体を軽くすることができる。温度変化による膨張は鉄やアルミよりやや大きいものの、振動吸収性や放熱性に優れているため、自動車の構造材に適していると言われてきた。

 一方、マグネシウムには、(1)腐食しやすい(2)塑性加工が難しい(3)溶融時に難燃性のガスが必要で加工コストが高い──などの問題がある。このため、用途はハンドルの芯金など鋳物の小型部品に限られていた。