海外ではアジアを中心に日本食への関心が高まりつつある。良質な国産食材を安価に輸出するためには、低コストの船便輸送が欠かせない。日数がかかる船便でも食材の鮮度を維持できる技術が輸出促進に一役買いそうだ。
●日本郵船が輸出に活用するCAコンテナの仕組み




その栄養価の高さから「森のバター」とも呼ばれるアボカド。5~6年前までは1個300円以上で売られていたが、現在は1個90円前後と手ごろになった。原産地のメキシコから輸入する際、これまで使っていなかった船便を使うようになったからだ。
そこで活用されているのが、船便で長い時間をかけても食材の鮮度を保てる「鮮度保持輸送」の技術。kg当たりの船便の輸送代金は航空便のおよそ10分の1と安い。一方で、航空便なら1日で運べる場所でも船便だと1~2週間はかかってしまうことがネックだった。新たな技術を活用することで、船便などで輸送しても食材の鮮度を保つことができ、国産食材を海外に輸出する際のコスト削減にもつながると注目されている。
背景には、TPP(環太平洋経済連携協定)の対策として世界の国々に日本の食材を売り込もうとする日本政府の思惑がある。日本食への関心は今、アジアを中心に世界中に広がっている。政府は、2015年に7451億円だった農林水産物・食品の輸出額を2019年までに1兆円に伸ばす計画で、数々の輸出支援策も打ち出している。
これを商機と見る農業協同組合や民間企業も多い。低価格で食材を輸出するための技術開発を進めている。
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