スプレーで試薬を振りかけると数分でがん組織だけが明るく光る。手術や内視鏡検査の際に、がんの見落としを防ぐ画期的な技術が開発中だ。ほぼすべてのがんに対応可能で、臨床現場に変革をもたらす。

(写真=Visuals Unlimited, Inc./Anne Weston/Cancer Research UK/Getty Images)

 「こんなことができるのかと驚いた」。済生会福岡総合病院外科医長(乳腺外科)の上尾裕紀氏はその瞬間をこう振り返る。同氏の父で、うえお乳腺外科(大分県大分市)院長の上尾裕昭氏、九州大学病院別府病院外科教授の三森功士氏とともに、ある試薬の効果を検証したときのことだ。

 外科手術で摘出した乳がん組織に無色の液体試薬を散布すると、わずか1~2分のうちに、がんと疑われた箇所が緑色の蛍光を放ち始めた。観察には簡易型の装置を使ったが、蛍光は肉眼でも分かるほどの明るさ。光った箇所を病理診断に出したところ、確かにがん細胞が存在していた。