企業や大学でトマトやイチゴなどの農業収穫ロボットの開発が盛んになっている。人手不足に加えて高齢化が進む中、人に頼ってきた収穫作業を自動化できる意義は大きい。当面はロボットと人が協業する想定だが、完全自動化を模索する動きも出てきた。

トマト、イチゴ、レタス収穫ロボットが続々登場
●開発が進む主な農業収穫ロボット

産学で農業収穫ロボットの開発が始まっている。

ハサミを使わず輪に通して採取
パナソニックのトマト収穫ロボット
2つのアームで効率的に作業
スキューズのトマト収穫ロボット

夜間に稼働し人と作業を分担
シブヤ精機のイチゴ収穫ロボット
実に触れず収穫し専用容器に収納
宇都宮大学が開発するイチゴ収穫ロボット

作業時間が多いレタスに対応
信州大学が開発するレタス収穫ロボット

 日本の農業就業人口は減少を続けている。2016年2月時点で農林水産省の概算は約192万人。200万人を割り込んだばかりか、65歳以上が占める割合が約65%に増加。高齢化も進んでいる。

 そんな人手不足解消の一助となるのが、現在、企業や大学などで急速に開発が進む「農業収穫ロボット」だ。これまで人の手に頼っていた農作物の収穫を肩代わりしてくれる。

 現時点では実用化が始まったばかり。様々な作業をこなせる人手と異なりロボットは収穫作業に限定されるうえ、販売が本格化しても1台500万円程度と高いのがネックだ。そのため大規模で、収益性の高いトマトやイチゴを育てる農園から試験運用が始まっている。

 トマトやイチゴは、ハウスなどを利用し、湿度や温度を管理して栽培する「施設園芸」を採用している農園が多い。露地栽培に比べ計画的に生産できるため、収益性が高いのが特徴だ。

 収穫作業の流れは、①作物の栽培棚の間を人(ロボット)が行き来し、②出荷に適した熟度の実を見極め、③果柄と呼ぶ実を支える茎から実を切り離して容器に入れる──の3つになる。

 これらの動作をロボットで実現するには、センサーなどで障害物や路面の状態を検知しながらぶつからずに移動する「自律走行」、センサーやカメラで作物の状態を認識して取るべき実を判別する「画像認識」、認識した実をロボットのアーム(腕)で切り取り、落とさず容器に入れる「摘み取り動作」の3つの技術要素が必要になる。中でも収穫ロボットで重要なカギを握るのが、「画像認識」と「摘み取り動作」だ。

 パナソニックは、搬送ロボットなどで培った自律走行やセンサー技術などを生かし、フルーツトマトと呼ばれる小ぶりのトマトの収穫に特化したロボットを開発している。

 フルーツトマトに着目したのは、施設園芸で年間10カ月とほぼ通年での収穫ができ、ロボットを導入した際の稼働率が高いから。普通のトマトと比べさらに単価が高いことも理由だ。