4月に発生した熊本地震では、従来の地震対策の想定が覆される事態が起きた。日本での観測史上初めて、同一の地震活動で震度7を2度観測したのだ。人命と建物に甚大な被害が出たことを受け、耐震基準の見直しが必要との指摘も専門家らから出始めた。
被害をもたらすのは、強烈な揺れだけではない。近い将来に発生する可能性がある南海トラフ地震では、数秒から十数秒の周期で大きく揺れ、特にビルの上層階を大きく振動させる「長周期地震動」への対策が急務だ。
長周期地震動では特に高層ビルでの被害が予想されるため、大手ゼネコンが相次いで新技術を導入している。従来の想定を超えた揺れをどのように制御するのか。順に見ていこう。
東京都新宿区にそびえる超高層ビル「新宿三井ビルディング」。三井不動産が運営するビルの屋上に昨年、巨大な重りが設置された。鹿島製の「D3SKY(ディースカイ)」。振り子式の重りを使って建物の被害を軽減する、「TMD(チューンド・マス・ダンパー)」と呼ばれる制震装置の一種である。
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