線虫や犬など動物の力を活用し、がんを早期発見する試みが始まった。手掛かりは動物にしか分からない、がん患者に特有のかすかな「臭い」だ。パーキンソン病の早期発見にも、臭いが重要な役割を果たすことが分かってきた。

(写真=GUSTOIMAGES/SCIENCE PHOTO LIBRARY /amanaimages )

 虫に犬、そして人間。多くの生物が持つ「臭い」を感じる仕組みが、がん検査に革命を起こそうとしている。

 日立製作所は今年4月、新しい仕組みのがん検査装置を試作したと発表した。人間の尿をシャーレに載せると、その人ががんに罹患しているか、高い確率で判断できるようになる。

 この装置で尿を分析しているのはセンサーなどの機械類ではない。「シー・エレガンス」と呼ばれる体長1mm程度の「線虫」だ。取り扱いが容易で大量培養できることから、科学実験などに幅広く使われてきた。この線虫の特徴は、人間の100万倍ともいわれる犬と同等か、それ以上に優れた「嗅覚」を持つこと。目がない代わり、鋭敏な嗅覚で餌を判別して近づいていく習性がある。