凍る手前の温度で熟成

 ローソンが4月11日に発売した、「氷温熟成豚のロースとんかつ弁当」もその一つ。0度からマイナス1.6度の温度帯で5日間、熟成した豚肉を使っている。豚肉はマイナス1.6度程度で凍結するが、凍らないギリギリの温度帯で熟成させるのがポイントだ。

 豚肉は海外産で、スペインとメキシコの食肉加工所で熟成作業をしている。これまで海外産の精肉は、と畜後すぐに冷凍して日本に送っていたが、死後硬直した段階で凍結処理すると肉質が硬くなる傾向があった。そのためと畜後の5日間、熟成させてから冷凍する方式を取り入れた。以前はプラス2度程度で熟成させていたが、昨年からは0度以下での熟成を始めた。

 ローソン子会社SCIの調達販売部畜産チームで、この新たな製法での豚肉熟成に取り組んできた小林裕和マネジャーは「プラス2度程度の温度帯で熟成した豚肉に比べ、保水性が10~20%向上した。食感が柔らかくなる利点もある」と話す。

 凍る温度である「氷結点」は食材によって異なる。多くは水が凍って氷になるゼロ度よりも低い温度で実際には凍る。例えば、牛肉や豚肉の氷結点はマイナス1.6度、イワシはマイナス1.4度、リンゴはマイナス2.1度という具合だ。この性質を活用し、氷点下で熟成させた食材が相次ぎ登場している。

 キーコーヒーはローストする前段階、生豆の状態のコーヒー豆を氷点下で熟成した「氷温熟成珈琲」を開発。コーヒー豆製品に加え、今年3月には一般向けのコーヒー飲料を発売した。キーコーヒーの分析では、氷点下で熟成させたコーヒー豆は、バニリンなどの香り成分が従来の製法より最大15%増すという。

 長野県下諏訪町にあるひかり味噌は「氷温熟成みそ華雪(はなゆき)」を2015年に発売。味噌を氷点下で熟成させた場合、アミノ酸などのうまみ成分が13.7%増すという結果が出ている。

<b>マイナス5度で味噌を熟成するひかり味噌</b>(写真=渡辺 幸雄)
マイナス5度で味噌を熟成するひかり味噌(写真=渡辺 幸雄)

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