クルマの燃費を高めるためには、車体の軽量化をさらに進めるのが最も効果的だ。カギを握る新素材が、アルミニウム(Al)合金やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)だ。自動車専門誌「日経Automotive」から最新事例を紹介する。
(写真=Jose A. Bernat Bacete/Getty Images)
「何が最適か、ゼロから(検討を)始めた」。ホンダが昨年8月にフルモデルチェンジした新型スーパーカー「NSX」(2代目)の車体の設計に携わった本田技術研究所四輪R&Dセンター第9技術開発室第1ブロック研究員の松浦広和氏の言葉だ(図1)。
同社は1990年、初代NSXを開発。総アルミニウム合金化を図った車体は業界から大きな注目を集めた。そこから一転、2代目ではアルミニウム合金主体のマルチマテリアルの車体に変更(図2)。しかも車体の基本構造も、初代で採用していた板材を主体に殻状の構造体を使うモノコック構造ではなく、柱や梁の役割を果たす管材で骨格を構成するスペースフレーム構造に変えた。
安全性と燃費を高次元で両立
●ホンダのスーパーカー「NSX」に使われた主な軽量化技術
図1ホンダのスーパーカー「NSX」
アルミニウム(Al)合金を主体としたスペースフレーム構造を採用。初代のモノコック構造を継承せずに、何が最適かをゼロから検討した
図22代目はスペースフレーム構造を採用
初代は主に板材を使って殻状の車体を造るモノコック構造を採用していたが、2代目で柱や梁の役割を果たす管材で骨格を構成するスペースフレーム構造に変更した。SMCは強化繊維入り樹脂シートのこと
図3骨格における材料の使い分け
アルミニウム(Al)合金でも押し出し材、プレス成形品、鋳物を使い分けた。さらに鋳造では重力鋳造品とアブレーション鋳造品の両方を使う
図4骨格における鋳造品の適用例
アルミニウム(Al)合金の重力鋳造品は、さまざまな方向からくる部材を結合する部位に用いている。これにより、力をスムーズに伝えやすくなる。一方、アブレーション鋳造品は衝突時のエネルギーを吸収させたい部位や剛性だけでなく強度も求められる部位に使う
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