2020年のサービス開始を目指す第5世代移動通信システム(5G)。「高速・大容量」「超低遅延」「多数端末接続」が特徴で、IoTの実現に不可欠だ。動画配信から自動運転まで、新たなサービスを陰で支えることになる。

およそ10年ごとに移動通信は大きく進化してきた
●移動通信システムと主な用途の変遷
グラフの出所:総務省 キロは1000、メガは100万、ギガは10億(写真=teekid/Getty Images)

 2月27日から3月2日までスペインのバルセロナで開催された、モバイル通信業界で世界最大の展示会「Mobile World Congress 2017」。このイベントに併せて、NTTドコモやKDDI、米AT&T、スウェーデンのエリクソンなど世界の有力携帯電話会社・通信機器メーカー22社が、「5G」仕様の早期策定に向けて協力することで合意した。

 5Gとは英語の「5th Generation」の略語。「第5世代移動通信システム」と呼ばれる、現在策定中の国際的な通信規格だ。総務省は、東京五輪がある2020年までに、日本国内でサービスを開始することを目指している。

2020年代には、2010年の1000倍のデータが飛び交う
●5Gの特徴
1 高速・大容量
10ギガビット/秒以上の通信速度(4Gの10倍)
高精細映像(4Kなど)など大容量コンテンツの 配信やVR(仮想現実)で活用(写真=ロイター/アフロ)
2 超低遅延
1ミリ秒以下(体感ゼロ)の遅延

自動運転やロボットの遠隔操作で活用(写真=AP/アフロ)
3 多数端末接続
現状の100倍以上の端末接続をサポート
スマートメーターなどで活用(写真=mathiswoks/Getty Images)

 携帯電話向けの通信規格は、およそ10年ごとに新世代に移行してきた。1980年代の自動車電話や肩掛けタイプの携帯電話が第1世代。インターネットの黎明期に登場した第2世代(93年開始)の通信速度は「9.6キロビット/秒(キロは1000)」だった。

 現在発売されている多くのスマートフォンは第4世代(4G)に対応。ここで使われる「LTE-Advanced」という通信方式では、最大速度が「最大1ギガビット/秒(ギガは10億)」に達する。二十数年で10万倍も高速になった。

 だがIoT(モノのインターネット)が急速に進展する中で、従来の4Gでは力不足な点が見え始めた。NTTドコモの試算では、2020年代のデータ通信量は2010年と比べて1000倍になるという。そこで、世界各国の通信技術の標準化団体が集まった「3GPP」の場で、将来のニーズを先取りした規格の策定に向けて議論を進めている。

 5Gで実現を目指す「高速・大容量」と「超低遅延」「多数端末接続」の順に説明していこう。

 産官学で5Gを推進する団体「第5世代モバイル推進フォーラム」(以下、5GMF)によると、1つ目の「高速・大容量」化では、「10ギガビット/秒以上」を目指すことになる。これは4GのLTE-Advancedの10倍に当たる速度。1ギガビット/秒あればDVD1枚に入った2時間の映画を約30秒でダウンロードできる。10ギガビット/秒なら、わずか3秒だ。