来店客が動き回っても安全

 LIDARによるSLAMを採用するなど、一部で先進的な機能を取り込んでいるパンゴリンだが、これら一連の新型ロボットの開発には、日本のロボット研究者が技術協力している。電気通信大学大学院情報理工学研究科教授の長井隆行氏の研究グループである。

 当初、磁気誘導型のロボットのみ手掛けていたパンゴリンは、より高度なロボット技術のシーズを探して2015年6月、電通大のTLO(技術移転機関)業務を手掛けるキャンパスクリエイトに技術を照会した。パンゴリンのCTOを務める丁氏は電通大の大学院に在籍していたことがあり、知人がTLOのキャンパスクリエイトに勤務していたことから、電通大を選んだ。

 その結果、ロボットを研究していた長井氏を紹介され、両者の面談の結果、共同研究がスタートした。「人が多くいるレストランのような実環境でサービスロボットを商用レベルで運用できる機会は、研究者としても非常に魅力的だった」(長井氏)という。パンゴリンのSLAM搭載の新型ロボットの出荷が中国国内で始まれば、そのロイヤルティー収入も電通大や長井氏の研究室に入ってくるようになっている。

 長井氏らとパンゴリンが共同研究を開始した後、同社のロボットの内部設計は一新された。ROSを採用するという決断や、SLAMなど自己位置特定のための技術検討なども、長井氏らが主導して実施した。

 ROSは研究開発には向いているものの、商用には不向きとの声もあるが、「屋内環境であれば、ROSのSLAM機能も商用で十分使い物になる。来店客が動き回るなど、ノイズがある動的な環境であっても特に問題なく運用できることが分かった」(長井氏)という。

10万円台のロボット掃除機にも利用され始めた
●SLAMの採用例
10万円台のロボット掃除機にも利用され始めた<br />●SLAMの採用例
米グーグルが2010年、自動運転車の開発に使ったことでSLAMへの注目が高まった。今ではドローンなどにも搭載される。SLAMを搭載したロボット掃除機は10万円前後と高価であるが、部屋の中のどの領域を掃除したのかも把握しているため、ランダムに動く機種より掃除時間が短い(写真=左:Sipa USA/amanaimages、中:Polaris/amanaimages、右:アイロボット提供)
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