シリーズ
熊谷徹のヨーロッパ通信

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空騒ぎに終わったドイツ中道左派の“乱”
9月の独連邦議会選挙において、メルケル首相が率いる社会民主党が勝利することが確実になってきた。英国のEU離脱決定やトランプ米大統領の就任で不透明性が高まる中、ドイツ国民は最も経験のある同首相を選ぶだろう。社会民主党の低落…
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右派ポピュリスト・ルペンが躍進し決選投票へ
仏大統領選で、右派ポピュリスト政党「国民戦線」のルペン候補が決選投票への進出を確実にした。治安と雇用に対する国民の不満が同氏への支持を高めた。だが同氏が奉じる孤立主義でこの問題を解決することはできない。
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メルケルを脅かすSPDの「シュルツ旋風」
この党大会で、驚くべきことが起きた。有効票を投じた605人の代議員の全員が、シュルツを党首に選んだのだ。SPDの153年の歴史の中で、党首が100%の得票率で選ばれたのは、今回が初めて。
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米国の恫喝に欧州はどう反応するのか
冷戦でソ連に勝利した軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)が、トランプによって揺さぶられている。NATOの68年間の歴史の中で、最大の危機だ。欧州人たちが抱く焦燥は、国土防衛を米国に大きく依存する日本にとっても他人事では…
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欧州を揺さぶったトランプ・インタビュー
トランプ氏が大統領に就任する4日前、ドイツの大衆紙「ビルト」と英国の「タイムズ」は、トランプとの独占インタビューを掲載した。筆者はトランプ氏が「ビルト」を選んだことを興味深く思う。部数はドイツで最大だが、エリート層が読む…
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トランプの大統領就任とNATOの運命
トランプの大統領就任は、欧州の安全保障体制を大きく塗り替える激震だ。ロシアとの軍事的緊張が高まる中、この地域の安全保障の要であるNATOの抑止力が弱まることを欧州諸国は強く懸念している。
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トランプとの対決姿勢を鮮明にしたメルケル
次期アメリカ大統領がドナルド・トランプ氏に決まった。ドイツのメルケル首相はトランプ氏への祝辞に懸念と批判を含む“毒矢”を潜ませた。この祝辞は政治が言葉の芸術であることを印象づけるものだった。
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難民支援でも国内は反発、メルケルに迫る正念場
2015年夏に難民の受け入れを決断して以来、ドイル首相のメルケルへの不満が日に日に高まっている。与党であるキリスト教民主同盟は春から続く地方選挙で軒並み得票率を下げている。総選挙を控える2017年はメルケルにとって正念場…
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冷戦の再来、欧州で高まるロシアとNATOの緊張
日本ではあまり報道されていないが、ロシアと欧米諸国との間で「軍事的な緊張」が高まりつつある。発端はロシアによるクリミア併合だ。NATO(北大西洋条約機構)は演習を繰り返し、ロシアをけん制している。カギとなる地域として軍事…
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トルコの弾圧の嵐はEU難民合意を崩壊させるか?
トルコとEUの関係が急速に悪化している。両者が交わした難民を巡る合意は、風前の灯といっても過言ではない。対立を決定的にしたのは、今年7月にトルコで起きた発生したクーデター未遂事件以降、エルドアン政権が続ける弾圧の嵐だ。
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BREXITが深める英国とドイツの亀裂
メルケル独首相は英国に対し「EU単一市場に参加し続けたいのならば、人の移動の自由を受け入れなくてはならない」と明言した。だがメイ英首相は移民の制限を既に公約として掲げている。ドイツの主張を受け入れる可能性は、極めて低い。
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反EUのポピュリズムが理性に勝った日
英国は再びウインストン・チャーチルの警告に耳を貸した。彼は「第二次世界大戦のような惨劇を二度と起こさないために『欧州合衆国』を作るべきだ」と提唱する一方で、「この合衆国に英国は加わるべきではない」とした。
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風前の灯!EU・トルコ間の難民合意
EUそして独首相メルケルは、トルコに首根っこを押さえられている。EU圏に流入する難民の数が多くなるか少なくなるかは、トルコ大統領のエルドアンのさじ加減一つにかかっているからだ。
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ドイツでも広がる右派ポピュリズムの暗雲
ドイツで右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が勢力を伸ばしている。3月に行なわれた地方選挙で既成政党から多くの票を奪った。イスラム教徒を敵視する政策を掲げる同党の拡大を楽観視してはならない。
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欧州覆うフランス・ベルギー・コネクションの影
捜査当局は、バクラウィ兄弟がこの幹部を誘拐して、プルトニウムなどの核物質を脅し取ろうとしていた可能性があるとしている。核爆弾を作るだけの技術がなくても、「ダーティー・ボム(汚い爆弾)」を作ることはできる。
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メルケルを待ち受ける「3月危機」
難民の受け入れに寛容な姿勢を続ける独首相メルケルに対して、周辺国だけではなく与党内においてさえ批判の声が高まっている。3月には3つの州で州議会選挙が行われる。この結果がメルケルの難民政策に対する国民審判の第一弾となる。
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ケルン暴力事件で露わになった「文明の衝突」
大晦日の晩、独ケルンに「狂気の夜」が出現した。難民申請者を含む外国人が広場にいた女性を取り囲み、胸や下半身を触ったり、財布や携帯電話を強奪したりしたのだ。これを機に、「難民を歓迎する文化」は雲散霧消した。